これは、私の叔母とその娘の会話である。
叔母は健康の為と称して、
2~3日に一度歩いて買い物に行く。
「愛情を込めた野菜」を食するための家庭菜園なのだが
…害虫駆除にいそしんで…。
「脳細胞の活性化」と言ってクイズを嗜み
…たまに小学校レベルの漢字を聞くことも…。
「精神の安らぎ」と称して外国ドラマを
感情的に鑑賞するのが日課なのだ。
…が、しか~し。
字幕を読むのが精一杯で画面見る余裕なし
ある日ポツリと思い出した様に
「紅葉を見たいな」と独り言。
娘は、「今頃かい
時期は過ぎたけれど」と思いはしたが
「お母さん、行ってみる?」
「行こうか」との即答。
考えてみればご主人が他界して、免許も無いし外に行くのは
買い物と家庭菜園だけだそうで。
(近所に救急車が来た時も見物しちゃう
困った叔母らしいよ)
娘はあれこれ考え「あんずの丘」に行く事にした。
小春日和の道中、
助手席での叔母は素朴な疑問を持ったようで
「ねえねえ、杏子の木は紅葉するの?」
「ん?ん?知らないよ」と娘は答えたそうな。
「だって、杏子の木でしょ?農家でしょ?
畑の中で陶器やはちみつ、 押し花販売して
ケーキまで作って販売している農家さんの畑でしょ?
すごいよね~
どんなはたけどんな畑かな~?楽しみ
」
娘は思わず急ブレーキをかけたそうな。
目的地が「あんずの丘」で道中が紅葉鑑賞のはずが。
「あんずの丘」なる名称を、紅葉見る場所と思ったそうな。
『あんずの丘』 『杏農家』 一緒ですなぁ…
糖尿病もちの叔母は、やっぱりケーキを食べ、
お土産を求め、満喫した様で、
「来年も行こうね」とその日から楽しみにしているとの事。
「長生きしてね、いっぱい連れて行くからね。」
母娘で幸せな時間を過ごしたそうな。
その後娘は、気付いたそうで、
「相手に伝わらないのは、伝え方にも問題がある」と。
何故かほのぼのとした、幸せを感じる実話でした。
私も親孝行しよう。
2021-01-21 15:43:40
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